mellow yellow sky

All photos and words 2015- © ayako nakamura / All rights reserved / Photos and words may not be used without permission

東北、2015年、春。 ⑦福島・花見山

陸前小野を離れた私が次に向かったのは、福島でした。


f:id:mellowyellowsky:20150425195506j:plain

f:id:mellowyellowsky:20150427121422j:plain

阿武隈川から。


「福島に行ったよ!」と言うと
放射能は?」という反応になりますが、
中にはものすごく顔をしかめる方もいらっしゃって、びっくりしました。

福島、というより「FUKUSHIMA」として捉えているのでしょう。
個人的には「福島という場所を、震災前から知らない」人が多いことも、放射能の恐怖を増幅させているのではないかとも思いました。

 

私が知りたいのは、「いま、ここ」の、本当のこと、でした。
福島に住んでいる人の声。
福島が好きな人の声。
福島に住みながら、放射能の恐怖とたたかう人の声。
福島に住んではいないけれど、真摯に向き合う人の声。

 

知ろうとすること。 (新潮文庫)

知ろうとすること。 (新潮文庫)

 

 

勿論、「好きなもの」だけを集めても健全ではないですが、
実際に見ないと気が済まない。
まずは、福島がどういう場所か、知りたい。

そう思ったきっかけは、
前回訪れた際のパンフレットの写真。

 

https://instagram.com/p/m7yq-ZIOsl/instagramより


花見山公園。
どうしても、行きたい。
満開の桜を見てみたい。

 

f:id:mellowyellowsky:20150425200358j:plain


福島駅から花見山までは、徒歩1時間です。
バスもありますが、10時からしか出ておりません。
そのため、撮影に適した朝の日光の時間帯には、バスは出ておりません。

タクシーを使うことも考えましたが、
1時間、歩くことにしました。

 

私が到着した日は、福島で桜の開花したと伝えられて3日ほど経っていました。
市内の桜も、7~9分咲き。
花見山に行くまでに見た渡利中学校の桜も、ほぼ満開。
うつくしい、東北の春。

f:id:mellowyellowsky:20150425200540j:plain

f:id:mellowyellowsky:20150425200557j:plain

f:id:mellowyellowsky:20150425200622j:plain

f:id:mellowyellowsky:20150425200638j:plain

ちなみに、
とてもきれいですが、この道はこれ以上行くと「行き止まり」。
「?」と思いますが、
花見山公園は、個人の私有地なのです。


f:id:mellowyellowsky:20150425200827j:plain


不思議な気持ちでした。
早足で60分コースを歩きましたが、
ここは、「有名なだれかの設計によるもの」「市が整地した場所」ではない、山です。

f:id:mellowyellowsky:20150427121214j:plain

f:id:mellowyellowsky:20150427121241j:plain


鶴の彫像や、太鼓橋、名もない歌人の歌の札が、ところどころに配置されてふしぎな世界観を作る中、
満開の桜や桃、菜の花、クリスマスローズ…等、
数々の花が植えてありました。

 

桃源郷」。

それがもしあるのならば、
ひとの手が加えられないものなのかとも思っておりましたが、
これも、かなり、ふしぎ。

f:id:mellowyellowsky:20150427122318j:plain

f:id:mellowyellowsky:20150427122420j:plain

f:id:mellowyellowsky:20150427122452j:plain

何度も、山はだから足を滑らせそうになりましたが、山頂までなんとか登りきって、福島市を一望してから、下山しました。

 

ちなみに。
平成27年3月現在の花見山周辺の放射線量は、0.23~0.5  μ sv/h未満。

http://www.city.fukushima.fukushima.jp/uploaded/attachment/41374.pdf


渡利地区は最大値で0.75~1.0 μ sv/h。
私は今回、危険だと思うよりも「見たい」という自分の気持ちを選びました。
覚悟の上です。

 

これが「見たい人だけが見られる風景」なのは、とても残念でなりません。

放射線が気になる方のためにも除染してほしいと思うし、
何よりも、そこに暮らす人のため、安全な福島になってほしい。

愛おしい、緑豊かなふるさとで暮らせる福島になってほしいと、
心から思いました。

f:id:mellowyellowsky:20150428174445j:plain